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■第一話 「すべてを求める欲張りな人へ」
■第二話 「夕暮れのバス停」
■第三話 「最高の普通」は「最高の贅沢」
■第四話 「9Fキャリバーへの思い」
■第五話 「二世代、三世代も使いたい9Fグランドセイコー」「普遍の時」
■第六話 「比較」
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第四話 「9Fキャリバーへの思い」 |
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あれは15、6年程前の出来事だったと思います。
セイコーエプソン塩尻事業所に勤めている同級生から、開発中の「グランドセイコー・9Fキャリバーモデル」の試作品について意見を聞かせて欲しいと連絡が入り、数日後に藤山さんと名取さんという設計担当者が来店されました。
しかしその当時は「ウオッチの軽量化」という業界の風潮があり、薄型化へ向かっている時代でしたから、『どうしてこんなに重たい、厚い時計にしなければいけないのか』というのが当時の私どものグランドセイコー・9Fキャリバーモデルに対する考えで、ずいぶんと酷評してしまいました。
その後、2年程前になるのですが、当社で「グランドセイコー特集」という企画を立て、ダイレクトメールやチラシの作成をしてグランドセイコーの拡販をしようとの事で、グランドセイコーの設計担当の方のコメントを掲載させて頂こうとセイコーエプソン塩尻事業所を訪問した際に、あのグランドセイコーの名機9Fキャリバーの設計担当者である名取久仁春さんと十数年ぶりの再会を果たしました。
もちろんその時、初対面でずいぶんと9Fキャリバーを酷評した事をお詫びして、「9Fキャリバー搭載のグランドセイコーをもっと売りたいので、是非お力をお貸しください」とお願いした事が思い出されます。
また「グランドセイコーセミナー」に参加した時の事です。
セイコーエプソン塩尻事業所やセイコーインスツル盛岡事業所などを訪問して実習を受けたのですが、その時にグランドセイコーを造っているセイコー社員の方々の自信や誇り、懸命さがごく自然に肌身に感じられました。
製造する人達がこれだけ一生懸命なのだから、この製品を販売する我々小売店の人間も真剣に販売に当たらねば申し訳ないし、グランドセイコーを「企画する会社」「製造する工場」「販売する小売店」の三者が一体となり、世の中に流通させる価値のある商品であると、改めて自覚させられました。
SEIKOの時計に携わり約40年になりますが、「最高の普通」がグランドセイコーのポリシーであり、1960年にはじめてグランドセイコーが製造された時の想いが現在も変わらずに引き継がれている事が、『何て素晴らしい時計なんだろう』と改めて思い知らされた気がします。
(T.O)
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